私は高校をカナダ国立バレエ学校という全寮制のプロのダンサーを養成する学校で過ごしました。週に6日、2時間弱のバレエのレッスンと、そのほかピラティスのような訓練やフラメンコ、モダンダンスやリハーサルなど、1日少なくとも4時間は練習をする日々でした。

プロのダンサーから教える仕事に移り、出産や育児を経て今の自分がありますが、ライフスタイルの変化によって厳格なバレエのトレーニングからはしばらく離れていました。

現在、とあるきっかけから週に3回ほどバレエのトレーニングを再開させたのですが、改めてクラシックバレエの型を行うにあたって必要となる体幹の強さ、足先や指先といった末端の使い方がいかにまた体幹の強化に繋がるか、など感じつつ驚愕の日々です。

ロシアにワガノワ・バレエ学校という世界最高峰の学校があるのですが、こちらの1年生や2年生の若い子供達が毎日繰り返し行っているレッスンの内容に本当に驚きます。バレエをやったことがない人でも、試しに1曲分、彼女達が保っている腕を保ってみるとその凄さが分かるのではないかと思います。たぶん、ほどなくして腕がプルプルと震えてくるのではないかと思います。腕だけの力でこの長時間、空中に腕を保つことは無理で、強靭な体幹の筋肉が必要になります。派手な手足の動きやテクニックの前に、いかに体幹の強さが四肢の動きを支えているかが分かります。

弱い体幹で四肢を使おうとすると、どうしても余計な筋肉に慢性的な負担がかかり、筋肉が硬く肥大化してしまいます。見た目も美しく、機能的で、快適な体のためにはやはり、強くしなやかな体を育てる必要があるのだと再確認しています。また、目的を明確にし、適切な方法で体を使うように丁寧に訓練することがいかに大切か、いかに結果を左右するかを身をもって感じます。この経験を指導に活かしていきたいと思っています。

ワガノワ・バレエ学校の2年生のバレエのトレーニング。バレエ・バー(補助棒)を持って行う最初の動き(プリエ)の腕を、試しに真似してみるだけでも体幹の強さの大切さが分かるかもしれません。